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個人的な勉強の記録です。データ分析、可視化などをメイントピックとしています。

はじめての 統計データ分析 ―ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学― その1

このブログの開設目的の、

はじめての 統計データ分析 ―ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学―

はじめての 統計データ分析 ―ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学―

についての記事インデックスです。

目次

本の紹介

この本は、昨今はびこる統計データ分析についてベイジアンの知見から解説した本です。 他の方の感想では、 statmodeling.hatenablog.com

d.hatena.ne.jp

のようなものがあります。個人的に一冊まるまるよんだ感想としては、次のような印象を持ちました。

良い点

MCMCについての細かい知識は要らない

ベイズの定理やMCMCを利用した多くの解析の本では、数式がガッツリ出てきて頭を抱える方も多いと思います。 しかし、この本ではStan言語を利用して解析を行っていきます。そのため細かい数式の変形や、推論の部分についてはStanがなんとかしてくれますので、本にも書いてありませんし、やる必要もありません。

Research Questionベースの解析

実際にデータ分析をする際には、様々なデータ提供者からの要望に答える形で解析をすることが多いと思います。 この本では、そのような問いをResearch Questionと呼び、各章で該当するResearch Questionを最初に挙げて、解決する形で進めていきます。 結果として、どのような形で今やっている解析が活きるものなのか、具体的にイメージしながら進める事ができます。

ベイズベースでのデータ解析への「入門」

豊田先生が後書きにも記していますが、普通データ解析や統計学を勉強するときには、頻度主義に基づく統計的仮説検定を勉強します(僕もそうしました)。 一方でベイズの定理を基づくベイジアン統計学は、最近計算機処理が高速化したことやデータ量が多くなっていることが原因で、頻繁に使われています。 しかしベイジアン統計学は、頻度主義とはぜんぜん違うため、入門が難しいと僕も思います。その中で本書は、統計的仮説検定の手法でやるような内容をベイジアン統計学で行った場合にどうなるかを解説しています。 その点で、最初に取り組む際に何が利点となるのか分かりやすいと思います。

答えが用意されている

最近は多いですが、解析に使っているスクリプトがR + Stanで用意されています。

朝倉書店|はじめての 統計データ分析 ―ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学―

更に、各章末問題は巻末に答えがかなり丁寧に書いてあります。 大学の教科書もそうですが、答えがない場合自分が間違っていても気が付かないことがあります。答えがあるのは非常に助かりますね。

悪い点

入門書ではない

幾つもの指摘がありましたが、入門書ではありません。 たとえば、

  • Stanの文法や使い方について丸々省略されている

  • 統計モデリングの必要性が良くわからない

  • ベイズの定理の導出なども駆け足気味

といった点が目立ちました。1つ目、2つ目については久保先生の通称緑本ベイズの定理について入門レベルから丁寧に勉強したい場合には超入門が良かったと思います。

なにをするのか

以降からは、各章の簡単な解説をした上で、Pythonで章末問題を解いていきたいと思います。 Stan言語については、PythonインターフェイスであるPyStanを利用します。 といっても、Stan言語で書かれている部分についてはRと共通して使うことが可能なので、PyStanを使うためにどのような小手先のテクニックがあるかを書いていくつもりです。